白山登山:試練を乗り越え、満願の旅(2023/08/10 1日目:市ノ瀬 ~ チブリ尾根避難小屋手前 ~ 市ノ瀬 ~ 別当出合 ~ 南竜山荘)

登山&旅行
別山

日本三霊山

 諸説ありますが、一般的に「日本三霊山」といえば、富士山・立山・白山を指します。これらの山の山頂部にはそれぞれ神社があり、参拝した後に御朱印をいただくことができます。

 私は2019年8月7日に富士山を登頂し、山頂の富士山本宮浅間大社奥宮久須志神社を参拝し、御朱印をいただきました。同年9月16日には立山を登頂し、山頂の雄山神社を参拝し御朱印をいただきました。

 そして、残った白山ですが、さまざまな理由でなかなか行く機会がありませんでした。しかし今年、ついに白山を登ることを決意しました。私にとって、これは満願の旅でもあります。

富士山山頂の富士山本宮浅間大社奥宮の御朱印
富士山山頂の久須志神社の御朱印
立山山頂の雄山神社の御朱印

 各山頂神社は、基本的に夏の登山シーズン中のみ期間限定で開設されます。開設期間については、各神社の公式ホームページで確認できます。

 白山(はくさん)は、日本の北陸地方、白山国立公園内の石川県白山市と岐阜県大野郡白川村にまたがる標高2,702mの活火山である。富士山、立山とともに日本三霊山の一つである。日本百名山、新日本百名山、花の百名山および新・花の百名山に選定されている。最高点の御前峰(ごぜんがみね)には、一等三角点と白山比咩神社奥宮がある。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 白山の登山道はよく整備されており、比較的登りやすいと言えます。しかし、今回の登山で、私にこんなにも試練が与えられるなんて、出発前には1ミリも思いませんでした。

登山計画
1日目:市ノ瀬 ~ 別山 ~ 南竜山荘
2日目:南竜山荘 ~ 御前峰 ~ 別当出合


1日1往復運行の日

 コロナ禍の影響もありますが、私がなかなか白山を登れなかったもう一つのシンプルな理由は、単純に自宅から遠く、登山口までの移動にかなり時間がかかることです。そのため、今回の登山では8月9日に松任で前泊しました。

松任駅前のSL、迫力ある
松任駅から徒歩15分ほどの若宮公園少し散策

 8月10日、この日は1日1往復運行の日でした。朝5時発の別当出合行き1便のみの運行で、シャトルバスは運行されていませんでした。バスの運転手さんが乗客を数えた結果、乗車人数は18名。これを事前に予想していたのか、運行されたバスは大型観光バスではなくマイクロバスでした。

 このバスには当然トランクがなく、乗客全員が登山ザックを車内に持ち込むため、車内は非常に窮屈でした。私はちょうど通路側の座席だったので、なんとかザックを通路に置くことができました。

 そして、バスは定刻通り市ノ瀬ビジターセンターに到着しました。市ノ瀬で下車したのは、私一人だけでした。

強風

 石川県白山市白峰地区では、夏の「白峰まつり」の時期になると、町中に提灯が飾られます。家に帰ってネットで調べたところ、この情報を見つけました。

 市ノ瀬は静かな印象でしたが、なぜか途中で通過した白峰では、町中に飾られた提灯が激しく揺れていました。出発前に天気予報を確認した際、この日、白山山頂(標高2,702m)の風速は秒速20m近い予報でした。別山(標高2,399m)では山頂ほど風が強くないだろうと考え、何とかなるだろうという甘い見通しで出発しました。

 市ノ瀬から別山山頂までは、標高差1,570mの登りです。長い樹林帯を進む中で、座って休めるポイントがほとんどなく、こういう時は折り畳み椅子があると本当に便利だと感じました。2時間以上登り続け、ようやく下山中の登山者と一人すれ違いました。風の状況を聞きたかったのですが、相手は急いでいる様子だったため、結局聞けませんでした。

 見上げると、空は青く澄んでいます。しかし、その一方で凄まじい風の音が聞こえてきました。

白山展望所からの白山

 二人目の下山中の登山者と遭遇した際、風の状況を尋ねると、「稜線に出ると風が強すぎて引き返しました」と、絶望的な答えが返ってきました。そして三人目の登山者にも同じ質問をしましたが、やはり同じ回答でした。

 私もすぐに引き返すべきだと心の中では分かっていましたが、ここまで来るとどうしても自分自身で状況を確認したいという気持ちが勝りました。そして、樹林帯を抜けて約10メートルほど歩いたところで、風は強いものの、まだ進めると思ったその瞬間、突如立ち上がれないほどの強風が吹きつけ、思わず登山道に座り込んでしまいました。さらに追い打ちをかけるように、帽子が風に飛ばされてしまいました。

 この一瞬、ものすごい恐怖を感じました。もうどうしようもないと判断し、風が少し収まった隙に樹林帯へ戻り、そのまま市ノ瀬へ引き返しました。

 下山途中で三人の登山者とすれ違い、風の状況を伝えましたが、誰一人として引き返すことはありませんでした。おそらく、彼らも先ほどの私と同じ気持ちで、ここまで来たら自分で確認しないと諦めきれないと考えていたのでしょう。

諦めるか

 市ノ瀬に戻った時は12時半頃でした。すぐに別当出合へ向かえば、まだ17時前には南竜山荘に到着できる見込みがありました。しかし、この日はシャトルバスが運行していません。

 絶体絶命のピンチ。もう諦めるしかないのでしょうか。

 市ノ瀬ビジターセンターで休憩しながら、いくつかの計画を立て直しました。まず、ビジターセンターのスタッフさんに地元のタクシー会社の電話番号を教えてもらい、一応電話をしてみました。結果はやはりダメでした。市ノ瀬はすでに山の中で、市街地から来るにはかなりの時間がかかります。その中の1つのタクシー会社からは「18,000円を支払うなら送ります」と言われましたが、これはもちろん無理です。Aプランは失敗に終わりました。

 市ノ瀬には1軒だけ旅館(永井旅館)があります。この日は平日だったため、宿泊できる可能性があるかもしれません。諦めモードで旅館に確認する前に、ビジターセンターのスタッフさんに「別当出合に行く手段はもうないですか?」と聞いてみたところ、なんとスタッフさんから「私が車で送ってもいいよ」という返事が返ってきました。驚きと同時に、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 まさに奇跡が起こりました。本当に感謝、感謝です。

南竜山荘

 ビジターセンターのスタッフさんのご厚意で、13時半ごろには別当出合に到着していました。

 予約している南竜山荘に、今日少し遅れることを伝えようと電話をしましたが、この時間帯は南竜山荘予約センターが昼休み中でした。このまま登ると、途中で携帯が圏外になる恐れがありました。また、午前中の登山でかなり疲れていたため、さらに休憩が必要だと感じ、一旦別当出合で待機することにしました。

 下山してきた登山者に山上の状況を尋ねると、山頂へは行けなかったものの、室堂までは到達したとのことでした。南竜山荘の標高は室堂より低いため、その話を聞いて少し安心しました。

 14時過ぎに南竜山荘予約センターに電話し、今日の到着が遅れることを伝えてから、登山を再開しました。

 足が思うように上がらない。午前中に1,000メートル以上登ったうえ、下山時はややハイペースで降りたためか、行程の半分を過ぎた頃から膝に痛みを感じ始めました。

 17時半頃、ようやく南竜山荘に到着しました。このボロボロの状態で、明日重い荷物を背負い、2日目の計画通りに進むのはかなり厳しいと感じました。最悪の場合、下山すらできなくなるかもしれないと思い、南竜山荘に明日もう一泊させてもらえないかお願いしました。

南竜山荘、1日目の夕食
3人定員だが山小屋ご主人のご厚意で私一人で使いました
寝所は窓側の部屋で、そのおかげできれいな夕日を見ることができました。

 結局、この日の累計は登りが1,917m、下りが1,100mに達し、私にとって過酷な1日となりました。


白山登山:試練を乗り越え、満願の旅 ②
高山植物の宝庫・白山


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