➡ 2023/07/15 北アルプス縦走1日目
➡ 2023/07/16 北アルプス縦走2日目
諦めも肝心
グループの中には体力自慢の二人がいて、朝風呂までしっかり堪能していたようです。
一方、私はというと、朝食の時間ギリギリまでしっかり寝ていました。
この日は、天気予報通り雲一つない快晴!清々しい一日の始まりでした。

この日の計画は、高天原山荘を出発し、岩苔乗越を経由して水晶岳、鷲羽岳を登頂し、その後三俣山荘に泊まるというハードな行程でした。
しかし、前日の状況を踏まえると、私と紅一点のYさんは、たとえ無理をして歩いたとしても、三俣山荘への到着がかなり遅くなるのではないかと考えました。
そこで、私とYさんは水晶岳の登頂を諦め、鷲羽岳のみ登頂して三俣山荘へ向かうことに決断しました。
一方、もう一人のOさんは、岩苔乗越まで登り、そこで状況を見て判断するとのこと。そして、残る体力自慢の二人は、もちろん計画通り全行程制覇に挑むことになりました。
水晶池
高天原山荘から歩いて約50分の場所に、水晶池という堰止湖があります。
2017年に一度訪れたことがあり、その時は午前中に少し雨が降り、水晶池に到着したのは午後でした。曇り空だったため水面に水晶岳を映すことはできませんでしたが、代わりに木々の深緑が映り込み、とても神秘的で美しい光景でした。
今回の訪問では、午前中に水晶池に辿り着いたものの、天気が良すぎて完全に逆光。水晶岳が水面に逆さに映ってはいたものの、強い日差しの下で池の水がかなり汚れて見えてしまい、少し残念な印象でした。そのせいで、写真もあまり撮る気になれませんでした。
今振り返ると、同じ角度で写真を撮って比較しておけば良かったかなと思います。
美しい景色に出会うには、タイミングが本当に重要だと改めて感じました。


前を歩いていた仲間は、水晶池をスルーして進んだようです。私は水晶池を往復したことで時間をロスしてしまい、仲間とまた距離が離れてしまいました。
岩苔乗越までの道のりは、前半は低い木の枝がザックに引っかかって足を止められることが多く、思うように進めませんでした。後半は迷いやすい道が続き、GPSで確認しながら慎重に進む必要がありました。さらに、天気が良すぎて景色も素晴らしく、途中には花畑も広がっていて、写真を撮るたびに足が止まり、なかなか前に進めませんでした。
地図に記載されたコースタイムは3時間20分でしたが、私は4時間15分もかかってようやく岩苔乗越に辿り着きました。到着すると、Yさんはすでに30分以上待っていてくれたようです。一方、Oさんは最終的に水晶岳に登ることを決断しました。


鷲羽岳
Yさんと合流し、鷲羽岳の山頂を目指しました。
実はこの日、私は足にマメができてしまい、鷲羽岳の山頂へ向かう途中ですでに痛みを感じ始めていました。ただ、歩けなくなるほどの痛みではなかったため、特に手当てをすることなく、そのまま我慢しながらゆっくりと山頂を目指しました。


午後13時、地図上のコースタイムを大幅にオーバーしながらも、ようやく鷲羽岳の山頂に到着しました。本当なら、山頂の景色を眺めながらもう少しゆっくり休憩したいところでしたが、ある事情で山頂に長居することはできませんでした。
その事情とは、三俣山荘の展望食堂の昼の部ラストオーダーが15時ということです。
しかし、三俣山荘まではまだまだ遠く、このペースでは1時間以上かかりそうです。
そこで、できる限り粘りつつも、13時半には山頂を出発。長く急な下り坂をひたすら進み、三俣山荘を目指しました。




三俣山荘
午後14時38分、三俣山荘に到着しました。間に合った!
ジビエもみじ丼
三俣山荘の展望食堂に到着後、早速「ジビエもみじ丼」を注文しました。味はどうだったかというと…鹿肉にはまったく臭みがなく、普通に美味しかったです!
実は、どうしてもこれを食べたかった理由が別にあります。2017年に一度この食堂を訪れたとき、楽しみにしていた「ジビエもみじ丼」がまさかの売り切れで食べられなかったのです。その時の悔しさから、「手に入れることが難しいものほど価値を感じる」という心理が働いていたのかもしれません(笑)。

また、外国出身の私にとって、この丼物に「ジビエもみじ」という名前が付けられた理由にも興味がありました。ネットで調べたものの、意外にも納得のいく答えが見つからず、ここで「Bing チャット」の出番です。今回はちゃんと答えを教えてくれました!
「ジビエもみじ丼」という名前の由来は、「ジビエ」が狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味するフランス語であること、そして「もみじ」が鹿肉の別名であることにあります。つまり、「ジビエもみじ丼」とは、鹿肉を使った丼物料理という意味になります。
サイフォンコーヒー
「35年前からのサイフォンコーヒーは名物」、三俣山荘のホームページにはそう書かれていました。
私は普段コーヒーを飲まないので、展望食堂の一角に並んでいる器具を初めて見たとき、「これって何?」と驚きました。山の上でこんな本格的なコーヒーを味わえるなんて、コーヒー好きにはたまらない体験ですよね。

サイフォンコーヒーは、水の蒸気圧を利用してコーヒーを淹れるためのガラス製の器具です。19世紀のヨーロッパで発明され、日本では大正時代から使用されています。
その特徴は、コーヒー豆の香りや風味を十分に引き出せること、濃厚でまろやかな味わいが楽しめること、さらに余韻が長く、口の中に心地よく残り続ける点にあります。
ジビエシチュー
三俣山荘のホームページによると、今年で夕食の「ジビエシチュー」は提供を始めて2シーズン目とのこと。すでにかなり好評を得ているようです。
実際に食べてみると、確かに美味しくて、ご飯がどんどん進みます。普段、私は山の上では食欲が落ちるタイプですが、今回はなんとご飯を3杯もおかわりしました!さらに、友人はワインまで追加注文。私は高山病が怖くてアルコールは控えましたが、正直ちょっと羨ましかったです。

とにかく、みんなが大満足の夕食でした。
私にとって、これまでに食べた山小屋の夕食の中で、間違いなくナンバーワンです。
失うものがあれば、得るものもある
水晶岳には、2017年の裏銀座縦走で一度登ったことがあります。ただ、その時は悪天候で登頂には成功したものの、山頂は霧の中。景色は何も見えませんでした。今回の山旅では、このリベンジも一つの目標でした。
しかし、実際に水晶岳登頂に挑んだ3人が三俣山荘に到着したのは、夕方の18時過ぎでした。
その時、私は水晶岳登頂を諦めた自分の判断が正しかったと思いました。もし無理をして水晶岳を登っていたら、危険はもちろん、山荘に到着する時間がどうなっていたか分かりません。リベンジできなかったのは確かに残念ですが、その代わり、三俣山荘の展望食堂でゆったりとした時間を過ごせました。念願のジビエもみじ丼を食べられたし、山小屋の日常も少しだけ体感することができました。


三俣山荘への物資補給は、ヘリコプターによる空輸で行われています。この日は天気が良く、風もそれほど強くなかったため、まさに空輸には最適な日でした。
ヘリコプターは何度も往復して物資を運び、山小屋のスタッフさんたちは大忙し。こんなに間近でヘリコプターによる物資補給の作業を見られる機会は、なかなかないですね。
両足にマメができました。登山歴は10年以上あり、こういった4日間の縦走も何度か経験していますが、マメができたのは今回が初めてのことです。やはり荷物が重すぎたのが原因かもしれません。
水ぶくれはまだ破れておらず、友人からは「潰したほうがいい」とアドバイスを受けましたが、潰すことでさらに痛みが増すのではないかと心配し、結局そのままにしました。いろいろ考えた末、予備の靴下を重ねて2足履きにし、歩行時の衝撃を緩和して痛みを和らげる方法を選びました。
三俣山荘の敷布団は厚みがあって寝心地がとても良く、そのおかげで翌日の不安が残りつつも、この3日間の中で最もぐっすり眠ることができました。
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